ゴーストギア対策について

1.ゴーストギアとは・・・

 ゴーストギアとは、放棄、逸失、もしくは投棄されて、海に流出した漁網などの漁具のことをいいます。

 日本語にすると「漁具の幽霊」という意味で、持ち主がいなくなり、海中を延々と漂う漁網を幽霊にたとえた言葉です。

 

2.ゴーストギアと海洋プラスチック問題

 海洋でのプラスチック汚染は、最も急速に悪化している国際的な環境問題です。
 毎年、海洋に流出しているプラスチックは、推定で1,100万トン と言われており、プラスチックの生産が世界的に急激に拡大している一方、その回収や処理の速度や規模が追いついていません。
 海洋プラスチックごみの中でも、特に、海洋生物に深刻な被害を与えるのが「ゴーストギア」です。

 毎年、世界の海に流出しているゴーストギアは、推定で50万トンから100万トンと言われています。

 

3.ゴーストギアの種類

 ゴーストギアで多くを占めるのが、漁網とロープ、紐類、資材(ブイ等)です。

 漁船が廃棄したり、漁で漁網等が切れてしまったときに、そのまま海中に投棄することで、ゴーストギアが発生してしまいます。

 

4.ゴーストギアと生物への影響

 例えば、ウミガメがゴーストギアに絡まってしまい、動けなくなってしまう、海鳥が餌と間違って摂取し、死亡してしまうケースが相次いで発生しています。

 また、魚類がゴーストギアから派生するプラスチックを体内に摂取することで体内にプラスチックが蓄積し、食物連鎖のなかでプラスチックが濃縮し、生態系全体にも大きな影響を与えています。

 

5.ゴーストギアを解消するための方法

 ① 漁網等を廃棄した場合の罰則の強化

   現在、漁網等を廃棄した場合、廃棄物処理法により、不法投棄に対して、5年以   下の懲役若しくは1千万円 (法人3億円)以下の罰金 又は併科が科される可能性

  があります。

   この刑罰をもっと上げることで、ゴーストギアを廃棄することが厳罰の対象にな

  ることを周知するべきです。

   ただし、現状として、漁を警察等が常に監視しているわけではありませんので、

  不法投棄の証拠を捉えることは至難の業といえるでしょう。

 ② 生分解性の材料に変える

   ゴーストギアを生分解性のプラスチックを部材として組込むことで、流出した漁

  具がやがて分解されることが可能です。

   実際に、生分解性プラスチックは開発中であり、技術革新と量産化による低価格

  が期待されます。

 生分解性プラスチック - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア (nies.go.jp)

 https://osakana.suisankai.or.jp/s-eco/2097

  一方で、プラスチック製品は、丈夫で長持ちし、容易に分解しないことのニーズに応えるために開発された経緯があり、一定の期間(段階)で分解されてしまう製品を漁業関係者が購入するかという問題もあります。

 

 ③ 漁網や資材を登録免許制にする

   漁網や資材を購入する際に、登録免許制にして購入者が分かるようにすることが

  現実的な方法であると思われます。

   漁網や資材に番号を表示して、持ち主が分かるようにする。3年や5年をめどに

  定期的な検査を行い、紛失等がないか確認する。

   紛失等があれば、罰金を科すことを定めるのです。

   自動車運転免許のように更新と講習を課すことで、漁業関係者にもゴーストギア

  に関する知識や環境に対する悪影響を理解してもらう必要があります。

 

6.結論

 ゴーストギアをなくすためには、漁業関係者の理解と協力が不可欠です。

 漁業関係者の理解を深めるには、罰則だけではなく、最新の情報やゴーストギアが海の環境が悪化させていることを共有していく必要があります。

 国も漁協等に任せるのではなく、自治体と漁業関係者が話し合ってゴーストギア対策に関するアイディアや情報を共有する勉強会等を開催させるなど、国として、ゴーストギア対策について、漁業関係者との積極的に話し合うことが必要であると思います。