更新料について

1.はじめに

 当事務所のご相談のなかでも、更新料に関するご相談が非常に増えています。

 今回は、(建物の)更新料についてお伝えします。

 

2.更新料とは・・・

 更新料とは、期間の定めのある賃貸借契約の期間満了に関して、賃貸借契約を更新する(続ける)際に、賃借人から賃貸人に支払う金銭のことです。

民法借地借家法においても、更新料に関する規定はありません。

 つまり、賃貸借契約に更新料を入れるかは、当事者の合意次第で決まります。

 

3.更新料の支払義務

 更新料に関して一番多いご質問は、「なぜ、更新料を支払わないといけないのか」というご質問です。

 ご相談者の多くは、賃借人の方からのご相談です。

「更新料なんて、何も役に立っていないのではないか。」

「賃貸借の対価関係にはならないのだから、拒否してもよいのではないか」

といったご主張をされる方が多いですね。

 更新料は、特約で「賃貸借契約の期間満了にあたり、賃貸借契約を更新する場合には、賃借人は、1か月分の賃料に相当する更新料を支払うは」という規定があれば、賃借人は、更新料を支払う義務が生じます。

 

4.更新料の趣旨

 更新料の趣旨は、更新拒絶しないことの対価ないし賃料の補填という趣旨で利用されていることが多いです。

 

4.法定更新と更新料

 更新には、賃借人と賃貸人との「合意更新」と合意のないまま契約期間が徒過した場合の「法定更新」の2つがあります。

 合意更新の場合には、更新料が生じることには特に問題はありませんが、法定更新の場合にも更新料が生じるか争いがあります。

賃貸借契約書に、「合意更新の場合」のみ更新料を支払う旨の条項のみであれば、「法定更新」の際には、更新料を請求できないと考えられます。

 

5.裁判所の判断

 一方で、裁判所は、法定更新に更新条項を適用することを一切否定しているわけではなく、賃貸借契約書上の文言や賃貸借契約をめぐる様々な事情を踏まえて、法定更新の場合にも更新料を支払う旨の当事者の意思を読み取れるかどうかにより、更新条項の適用の可否を判断していると考えられます。

 そのため、借主が、合意更新の時だけでなく、法定更新の時も、一定の合理的な額の更新料を支払わなければならないことを理解できるよう、分かりやすい更新条項を賃貸借契約に設けておくことが、紛争に備えるという観点からは、重要であると考えられます。

 このように、賃貸借契約において、単に更新料の定めを置くだけでなく、その更新料が、合意更新・法定更新どちらにも及ぶものであるか、分かりやすく規定する必要があります。

(逆にいうと、法定更新の場合にも更新料を支払うことが明確に読み取れない、非常にわかりにくい規定の場合には、法定更新の場合に更新料を請求できないおそれがあることをご注意ください。)

 

6.さいごに

 賃貸借契約書をお持ちであれば、更新料の規定をよ~くみて下さい。

 法定更新の場合について規定されていますか?

 わかりやすい規定になっていますか?

「合意更新」のみ更新料を支払う内容であれば、法定更新の場合には、支払う必要はありません。更新料は、契約書の内容により判断されますので、事前に賃貸人から説明をもらいましょう。賃貸人の説明に納得できなければ、納得できるまで書面の内容を変えて頂くことを求めてみましょう。

 更新料は、契約後のトラブルですから、契約時には気付かないかもしれません。

それでも、契約書の内容をよく確認して、賃貸人に説明を求めていくことが重要です。

両親が亡くなったら・・・part1(死亡直後から14日以内に行うこと)

1.はじめに

 当事務所にご相談される方には、突然ご両親が亡くなり、慌ててご相談にいらっしゃる方もいます。

 そこで、ご両親や身近な方が亡くなった場合の手続きについてお伝えします。

 

2.自宅でご両親がなくなったら・・・

 ご自宅で、ご両親が亡くなったら、すぐに救急車と警察に連絡してください

 救急車で運ばれた病院で死因を調べることになります。

 病院では、死体を検視した医師から「死体検案書」を受け取って下さい。

 「死体検案書」を受け取ったら必ずコピー(6部以上)用意してください

 以降、役所に書類を届ける際に添付する必要があります。

 なお、死体検案書の費用は、3万円~10万円くらいになります。

 ※ご両親に主治医がいらっしゃる場合で、死因が療養中の疾患である場合には、自宅 

  で無くなっても主治医から死亡診断書が発行できる場合もあります。

 

3.病院でご両親が亡くなったら・・・

 病院でご両親が亡くなったら、死亡診断書を受け取って下さい。

 死亡診断書も必ずコピーを忘れないでください。

 死亡診断書は、各医療機関で発行しています。

 費用は、3000円~5000円くらいになります。

 (費用は、医療機関により異なります。)

 

4.死後の手続き

 これからは、死後の手続きを行うことになります。

 ① 死亡届を提出すること

   死亡届は、死亡した日または死亡を知った日から7日以内(海外の場合、3か月 

  以内)に提出する義務があります。

   正当な理由なしに届出期間を経過した場合、3万円以下の過料になります。

   死亡届は、市区町村の戸籍課にあります。

   ②の火葬許可申請書と共に提出しましょう。

   届け出先は、死亡した場所、本籍地、または届出人の所在地のある市区町村役場

  です。

   なお、市区町村役場では、戸籍課で死亡届を24時間受け付けています。

   死亡届を提出することができるのは、

   ⑴ 同居している親族(後見人、保佐人、補助人も含む)

   ⑵ 同居していない親族

   ⑶ 親族以外の同居人、家主、地主、土地家屋の管理人

   です。

  ② 火葬許可申請書を提出すること

   火葬許可申請書とは、亡くなった人の遺体を火葬するために提出する書類です。

   死亡届と同じく、死亡した日または死亡を知った日から7日以内に提出する必要

   があります。

  ③ 公的年金の年金受給権者死亡届の提出

   年金等の受給者が亡くなった場合、亡くなった時点で年金の受給権が消滅してし

   まいます。そのため、年金受給権者死亡届の提出が必要です。

   年金受給権者死亡届の提出は、国民年金の場合、死亡してから14日以内、厚生

   年金の場合、死亡してから10日以内に行う必要があります。

   年金受給権者死亡届の提出の際には、

   ⑴ 年金手帳や受給していた事実が分かる書類

   ⑵ 死亡したことが分かる書類(死体検案書、死亡届等)

   ⑶ 年金受給権者死亡届

    の提出が必要です。  

   なお、すでに日本年金機構マイナンバーが登録されている場合には、死亡届が

   不要になります。

   亡くなった際に、日本年金機構に問い合わせしてみましょう

  ④ 健康保険・介護保険の受給者資格喪失届の提出

   亡くなったご両親が健康保険・介護保険を受給していた場合には、健康保険・介

   護保険の受給者資格喪失届の提出が必要です。

   合わせて、死亡の事実が分かる書類(死体検案書、死亡届等)とマイナンバーカ

   ードの提出が必要になりますので、ご注意ください。

   (特に、マイナンバーカードは見つからない場合もあります。その際には、市区

   町村役場にその旨お伝えください。

    なお、住民票(除票)からマイナンバーを確認することができます。)

   健康保険・介護保険の受給者資格喪失届の提出は、死亡してから14日以内に

   故人の住所地の市区町村役場に提出します。

 

    ※健康保険・介護保険の受給者資格喪失届と健康保険・介護保険の被保険証   

   (75歳以上であれば後期高齢者医療被保険証)を返納する必要があります。

    ※マイナンバーと保険証の合一化により、今後は被保険証の提出は不要(マイ

     ナンバーカードの提出に代わります)になります。

 

  ⑤ 世帯主変更届

   世帯主が亡くなった場合には、世帯主が亡くなってから14日以内に世帯主変更  

   届を提出する必要があります。

   世帯主変更届は、住民異動届という書類で行う市区町村もあります。

   変更を求める方の本人確認書類と印鑑が必要になります。

 

  まずは、死亡直後から死亡してから14日以内に行うことをお伝えしました。

 死後の手続きはこれ以外にもたくさんあります(難しい手続きがたくさん残っています・・・)。

  1つずつ確実に手続きを行うことができるよう、親族の方が共同して行うことをオススメします。

副業詐欺に気を付けて・・・

1.副業詐欺とは・・・

  副業詐欺とは、簡単に稼げる、誰でも高収入といった宣伝文句で勧誘し、講習代、 

 研修代、設備利用代金を名目に多額の金銭を請求する手口です。

 

2.副業詐欺の手口

  副業詐欺の手口は、

 ① SNSやHPで「誰でも稼げる」といった宣伝を行い、クリックさせると、

 ② 個人情報を登録させ、登録料名目に少額の金銭(1000円~2000円程度)

  を要求します。

 ③ あなたに紹介できるお仕事は・・・ですと副業の内容を電話やLINEで伝えます。

 ④ その後、仕事をするためには、「事前に・・・・の作業をする必要がある」とい

  って、講習や研修を紹介させ、手数料名目で金銭を要求します。

 ⑤ 金銭を支払えないと言うと、「登録された個人情報を使って、・・・をする」

  と、脅迫めいた言動を用いて、結局金銭を支払わせることになります。

 ⑥ しかしながら、実際に研修や講習を受けても、仕事は紹介されず、費用だけを

  取られてしまう。

  このような場合が典型的な事例です。

 

3.副業詐欺を見極めるためには・・

 副業詐欺のサイトを見極めるためには、

 ① 初期費用や費用をきちんと明示しているか

  費用がサイトに明示していること、明示された費用以外に追加で費用が生じないか

 ② 「誰でも稼げる」、「即金○○万円」などと言った安易な文句が表示されてい

  ないか

   本当に誰でも稼げるなら宣伝する必要はなく、その会社が稼げばよいのです。

   即金○○円がもらえるほど、簡単な仕事などありません。

   このような文句は、詐欺の常套句です。

   このような表示がされているサイトには関わらないようにしましょう。

 ③ 運営会社の表示

   特定商取引法により、運営会社の名称、住所、電話番号が表示されることが義務 

  になっています。

   上記3つの表示がない場合には、問題外のサイトです。そのようなサイトには関

  わらないでください。

   また、050-で始まる電話番号は、IPアドレスによる電話回線であり、犯罪の

  温床と言われています。

  可能な限り、050-で始まる業者は、関わらないようにしましょう。

 

4.副業詐欺に遭わないためには・・・

 副業詐欺に遭わないためには、

 ①簡単に稼げる仕事はありません。

  「簡単に稼げる」「誰でも高収入」といった文句のサイトは、詐欺サイトといって

  も過言ではありません。

  このようなサイトには、関わらないようにしましょう。

 ② 会社名やサイトを検索する

  会社名やサイトを事前にしっかりと調査しましょう。

  調査といっても、会社名やサイト名を検索すると、「詐欺サイト」、「悪質業者」

  といった表示があれば、非常に問題のあるサイトであると思われます。

  事前に検索するだけで、簡単に被害を防げることができます。

 ③ 多額の費用を請求されたら、弁護士や警察に相談する

  費用を支払ってしまったら、全額戻ってくる可能性は低いです。

  悪質な業者であれば、連絡先がなくなり、返金の交渉すらできなくなるおそれがあ

  ります。

  費用を支払う前に、弁護士や警察に相談してください。

 

5.まとめ

  副業詐欺は、副業詐欺は、登録料や教材費、投資の元本などを高額請求してお金を

 搾取する行為をいいます

  副業サイトを利用する際には、サイトに明示された費用以外の請求がないか事前

 の支払いがないかを確認し、悪徳副業サイトではないか見極めることが大切です。

  他にも、会社概要を確認して会社名が本当に存在するのか、会社名やサイト名を

 認し、詐欺や悪徳業者ではない確認するために、実際に検索してみることも重要です。

 もし、副業詐欺の被害に遭ってしまった場合には、すぐに弁護士や警察などに相談してみてください

遺産分割協議書について

1.はじめに

 当事務所へのご相談のなかで、遺産分割協議書に関するトラブルが多く寄せられています。

 本コラムでは、遺産分割書についてお伝えしたいとお思います。

 

2.遺産分割協議書とは・・・

 遺産分割協議書とは、相続人全員の協議の下に被相続人の遺産をどのように分けるか、誰に分けるかを話し合った内容が記載された書類です。

 重要なことは、「相続人全員」が「話し合った」ことです。

 遺産分割協議書で遺産の全てについて配分しなくても構いません。

 もし、遺産分割協議書に記載されていない(議論していない)財産がある、新たに財産が見つかった場合には、法定相続分で分ける(不動産等であれば、法定相続分での共有になる)ことになります。

 

3.全ての相続人の協議が必要です。

 遺産分割協議書に関する相談の多くは、ご相談者が関与することなく、ご長男等(トラブルの多くは、ご長男(ご長女)が作成された場合が多いです)からサイン等を求められてしまい、サインしてしまった。というケースです。

 協議に参加していない遺産分割協議書は無効です。内容も分からないまま勝手にサインさせられてしまえば、取消すること(錯誤)となりますし、たとえ、サインをしてしまっても、真実として協議を行っていないのであれば、裁判で無効を主張することになります。

 

4.その後の土地や財産のトラブルに発展します

 遺産分割協議書は、被相続人の口座を返戻したり、相続登記を行う際に必要な不可欠な書類です。

 従いまして、実際にはない協議に基づいた遺産分割協議書が作成されて、被相続人の口座が返戻されたり、移転登記がなされてしまった場合には、返戻した者、登記を移した者に対して、それぞれ不当利得返還請求訴訟、移転登記抹消請求訴訟を提起することになります。

 

5.早期の対応が必要です。

 お金は使ってしまえば、もはや取り戻すことはできません。

 また、不動産に関しては、第三者に名義を移転されてしまえば、名義を回復することは非常に困難です。

 そのまま放置してしまうと、もはや手遅れになりかねません。

 もし、わけもわからないまま遺産分割協議書にサインをしてしまったら、

 すぐに弁護士に駆け込んで、ご相談をしてみて下さい。

痴漢事件の慰謝料について

1.はじめに

 前回、痴漢に関してお伝えしましたが、痴漢行為の被害にあったので被疑者に対して慰謝料を請求したいと考える被害者も多くいます。

今回は痴漢事件の慰謝料についてご説明します。

 

2.痴漢行為に対する慰謝料請求

 痴漢行為の被害者のご相談のなかで、痴漢行為の被害にあった場合、精神的苦痛を受け、男性に対して恐怖感が生じたり、電車に乗れないといった被害を訴える方がいらっしゃいます。

 加害者に慰謝料を請求するためには、刑事手続での「示談交渉」と民事手続による「慰謝料請求」の2つ方法があります。

 通常は、刑事手続の「示談交渉」として、加害者である被疑者の弁護士から謝罪と損害賠償のために、被害者側に対して示談交渉の申し入れがあります。

 示談交渉の中で、示談金として慰謝料の支払いを受けることができます。

 示談交渉の申し入れがなかった場合や示談の内容が到底納得できない場合には、民事手続で慰謝料を請求することが可能です。

 もっとも、民事手続で慰謝料を請求する場合、改めて痴漢行為を思い出したり、証拠を集めたりする必要があり、途中で断念する方も多いのも事実です。

 弁護士として、可能であれば、示談交渉の中で慰謝料として示談金を受け取ることがベストな解決であるといえます。

 ただ、被害者の中には感情的な問題もあり、なかなか割り切れない方も多くいらっしゃいます。

 

3.慰謝料の傾向

 痴漢事件といっても、行為様態によって、都道府県の迷惑防止条例違反となるものと刑法の不同意わいせつ罪になるものがあります。

 身体を触っただけであれば迷惑防止条例違反となりますが、抱きつくなどして被害者が抵抗することを難しくしてわいせつ行為をしたときは刑法上の不同意わいせつ罪となります。

 迷惑防止条例違反の場合の慰謝料相場は、概ね10万円から50万円ほどが多い傾向にあります。

 他方、強制わいせつ罪の場合は行為態様が悪質ですから、その分、被害者の受ける精神的苦痛も大きくなりますので、迷惑防止条例違反よりも慰謝料は大きくなります。
 不同意わいせつ罪の場合の慰謝料相場は概ね50万円から100万円ほどで示談が成立することが多いです。

 どれくらいの精神的苦痛を受けたかは、主観的なものですから被害者によって当然異なります。主観的な精神的苦痛をお金で評価することは不可能です。

 それでも、お金という形でしか示談せざるを得ないことも事実なんです・・・

 

4.痴漢行為の顛末

 痴漢行為(迷惑防止条例違反)で警察に検挙されると、最終的には検察官が終局処分を行います。

 当初から痴漢行為を認めて、被害者に謝罪し、示談金も支払い、被害者に処罰感情が ない場合には、不起訴処分

 当初から痴漢行為を行い、示談をするも、被害者に処罰感情が残る場合には、略式処分として、罰金刑を受けることになります。

 なお、被疑者が痴漢行為を争う、否認している場合には、起訴ないし不起訴処分になります。

 罰金の上限金額は条例によって異なりますが、実際に加害者に課される罰金の金額は、初犯であれば20万円や30万円になることがほとんどですが、初犯でない場合は50万円になることもあります。

 罰金とは、被疑者(被告人)が国にお金を納めるものですから、被害者には支払われません。

 また、罰金は刑事罰であり、慰謝料は被害者への損害賠償金ですから両者の間には関連性はありません。

 もっとも、同じ支出であっても、罰金を収めるなら被害者側に損害賠償をしたいと考える加害者も多いため、示談金として支払う慰謝料の金額を考えるにあたり、罰金の金額が参考にされることはあります。

 

5.終わりに

 痴漢行為の初犯であれば、示談金は10~30万円ほどが相場になります。

 民事訴訟として慰謝料請求を行うこともできますが、弁護士費用や時間・労力を考えると、あまり得策とはいえないでしょう。

 可能であれば、示談交渉の中で、弁護人に対して、処罰感情が高く、示談金を高くしないと納得できない旨伝えることも方法です。

 ただし、相場との兼ね合いもありますので、あまりにも高すぎる金額を提示することは得策ではありません。

 被害者の方には、論理的には理解できるが、感情的にその値段では許せないと聞かれることがあります。

 被害者のお気持ちは理解できますし、示談金として、少しでも高い金額をお渡ししたいですが、被疑者の資力や行為様態、相場を考慮して示談金は設定されますので、示談金の交渉は、弁護士としてはいつも悩ましい限りです。

痴漢について

1.痴漢とは・・・

 一般的に痴漢と言われている"衣服の上からまたは直接体を触る行為"は、刑法ではなく各都道府県の迷惑防止条例で処罰されています。

  各都道府県によって痴漢の定義も異なります。

 東京都の迷惑防止条例は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例であり、

  1. 定義
    「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
    一 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。」
  2. 刑罰
    6月以下の懲役又は50円以下の罰金

となっています。

 ただし、痴漢の態様がより卑劣で深刻な場合には、各都道府県の条例ではなく刑法第176条の不同意わいせつ罪となる可能性があります。

 この場合、刑罰は、6か月以上10年以下と、かなり重くなります。

 

2.痴漢の傾向

 痴漢は、季節では夏に、曜日では水曜日、木曜日が多いと言われています。

 夏は、女性が肌の露出する機会があること、週末にかけてストレスが多くなることから上記傾向があると思われます。

 

 「ドア付近や先頭車両の端には近づかないようにしましょう」

 

 ドア付近に痴漢が多いのは、人が滞留して逃げ場がない・駅に着いた時に逃げやすいからです。連続して開かない側のドア横の座席際や先頭車両の運転室の後ろなどは、被害者の逃げ場がなく、周囲の乗客からは死角になることも多いため、狙われやすい傾向があります。

 

3.痴漢かどうか気になる場合・・・

  何か変だな、と思ったら、バッグなどでガードして、痴漢行為に気付いていることを示してみましょう。それでも変わらないようであれば、電車が揺れた時に自分の足を大きく動かしてみて、場所を移ることも方法です。

 重要なことは、同じところに留まらないこと。

 ドア付近や中央部ではなく、つり革がある座席側に移動したほうがいいです。


4.痴漢に遭ってしまった場合

 迷わず、触っている手を掴んで、周囲に助けを求めてください。「とっさの時に声が出ないかもしれない」と不安であれば、やはり防犯ブザーを携帯することも方法です。

 車内での場所・位置関係、犯人の特徴、時間帯、どこを移動している途中か、犯人と接触した時間等を後日、警察から聞き取りされますので、覚えている限りでスマホやメモに残しておいてください。

 

5.最後に

 痴漢は、犯罪です。

 声を上げることは、恥ずかしいことかもしれません。でも、周りの人でも痴漢を認識している人もいるかもしれません。

 周りの人と一緒に犯人検挙の協力を得られることもあります。

 声を上げることが難しい場合、スマホを使って誰かに助けを求めることも方法です。

 勇気をもって、周りの人の協力を得ましょう。

 あなたの勇気が、痴漢を撲滅することができるかもしれません。

ゴーストギア対策について

1.ゴーストギアとは・・・

 ゴーストギアとは、放棄、逸失、もしくは投棄されて、海に流出した漁網などの漁具のことをいいます。

 日本語にすると「漁具の幽霊」という意味で、持ち主がいなくなり、海中を延々と漂う漁網を幽霊にたとえた言葉です。

 

2.ゴーストギアと海洋プラスチック問題

 海洋でのプラスチック汚染は、最も急速に悪化している国際的な環境問題です。
 毎年、海洋に流出しているプラスチックは、推定で1,100万トン と言われており、プラスチックの生産が世界的に急激に拡大している一方、その回収や処理の速度や規模が追いついていません。
 海洋プラスチックごみの中でも、特に、海洋生物に深刻な被害を与えるのが「ゴーストギア」です。

 毎年、世界の海に流出しているゴーストギアは、推定で50万トンから100万トンと言われています。

 

3.ゴーストギアの種類

 ゴーストギアで多くを占めるのが、漁網とロープ、紐類、資材(ブイ等)です。

 漁船が廃棄したり、漁で漁網等が切れてしまったときに、そのまま海中に投棄することで、ゴーストギアが発生してしまいます。

 

4.ゴーストギアと生物への影響

 例えば、ウミガメがゴーストギアに絡まってしまい、動けなくなってしまう、海鳥が餌と間違って摂取し、死亡してしまうケースが相次いで発生しています。

 また、魚類がゴーストギアから派生するプラスチックを体内に摂取することで体内にプラスチックが蓄積し、食物連鎖のなかでプラスチックが濃縮し、生態系全体にも大きな影響を与えています。

 

5.ゴーストギアを解消するための方法

 ① 漁網等を廃棄した場合の罰則の強化

   現在、漁網等を廃棄した場合、廃棄物処理法により、不法投棄に対して、5年以   下の懲役若しくは1千万円 (法人3億円)以下の罰金 又は併科が科される可能性

  があります。

   この刑罰をもっと上げることで、ゴーストギアを廃棄することが厳罰の対象にな

  ることを周知するべきです。

   ただし、現状として、漁を警察等が常に監視しているわけではありませんので、

  不法投棄の証拠を捉えることは至難の業といえるでしょう。

 ② 生分解性の材料に変える

   ゴーストギアを生分解性のプラスチックを部材として組込むことで、流出した漁

  具がやがて分解されることが可能です。

   実際に、生分解性プラスチックは開発中であり、技術革新と量産化による低価格

  が期待されます。

 生分解性プラスチック - 環境技術解説|環境展望台:国立環境研究所 環境情報メディア (nies.go.jp)

 https://osakana.suisankai.or.jp/s-eco/2097

  一方で、プラスチック製品は、丈夫で長持ちし、容易に分解しないことのニーズに応えるために開発された経緯があり、一定の期間(段階)で分解されてしまう製品を漁業関係者が購入するかという問題もあります。

 

 ③ 漁網や資材を登録免許制にする

   漁網や資材を購入する際に、登録免許制にして購入者が分かるようにすることが

  現実的な方法であると思われます。

   漁網や資材に番号を表示して、持ち主が分かるようにする。3年や5年をめどに

  定期的な検査を行い、紛失等がないか確認する。

   紛失等があれば、罰金を科すことを定めるのです。

   自動車運転免許のように更新と講習を課すことで、漁業関係者にもゴーストギア

  に関する知識や環境に対する悪影響を理解してもらう必要があります。

 

6.結論

 ゴーストギアをなくすためには、漁業関係者の理解と協力が不可欠です。

 漁業関係者の理解を深めるには、罰則だけではなく、最新の情報やゴーストギアが海の環境が悪化させていることを共有していく必要があります。

 国も漁協等に任せるのではなく、自治体と漁業関係者が話し合ってゴーストギア対策に関するアイディアや情報を共有する勉強会等を開催させるなど、国として、ゴーストギア対策について、漁業関係者との積極的に話し合うことが必要であると思います。