遺産分割協議書について

1.はじめに

 当事務所へのご相談のなかで、遺産分割協議書に関するトラブルが多く寄せられています。

 本コラムでは、遺産分割書についてお伝えしたいとお思います。

 

2.遺産分割協議書とは・・・

 遺産分割協議書とは、相続人全員の協議の下に被相続人の遺産をどのように分けるか、誰に分けるかを話し合った内容が記載された書類です。

 重要なことは、「相続人全員」が「話し合った」ことです。

 遺産分割協議書で遺産の全てについて配分しなくても構いません。

 もし、遺産分割協議書に記載されていない(議論していない)財産がある、新たに財産が見つかった場合には、法定相続分で分ける(不動産等であれば、法定相続分での共有になる)ことになります。

 

3.全ての相続人の協議が必要です。

 遺産分割協議書に関する相談の多くは、ご相談者が関与することなく、ご長男等(トラブルの多くは、ご長男(ご長女)が作成された場合が多いです)からサイン等を求められてしまい、サインしてしまった。というケースです。

 協議に参加していない遺産分割協議書は無効です。内容も分からないまま勝手にサインさせられてしまえば、取消すること(錯誤)となりますし、たとえ、サインをしてしまっても、真実として協議を行っていないのであれば、裁判で無効を主張することになります。

 

4.その後の土地や財産のトラブルに発展します

 遺産分割協議書は、被相続人の口座を返戻したり、相続登記を行う際に必要な不可欠な書類です。

 従いまして、実際にはない協議に基づいた遺産分割協議書が作成されて、被相続人の口座が返戻されたり、移転登記がなされてしまった場合には、返戻した者、登記を移した者に対して、それぞれ不当利得返還請求訴訟、移転登記抹消請求訴訟を提起することになります。

 

5.早期の対応が必要です。

 お金は使ってしまえば、もはや取り戻すことはできません。

 また、不動産に関しては、第三者に名義を移転されてしまえば、名義を回復することは非常に困難です。

 そのまま放置してしまうと、もはや手遅れになりかねません。

 もし、わけもわからないまま遺産分割協議書にサインをしてしまったら、

 すぐに弁護士に駆け込んで、ご相談をしてみて下さい。