ガールズバーとキャバクラの違い
1.はじめに
私が勤務している錦糸町は、都内有数の歓楽街です。
そのため、たくさんのスナック、キャバクラやホストクラブがあります。
最近、新しい形態であるガールズバーが増えてきました。
今回は、ガールズバーとキャバクラの違いについてご説明します。
2.キャバクラについて
ウィキペディアによれば、キャバクラとは、「キャバ嬢」(昔の呼び名は、「ホス
テス」)と呼ばれる女性が客席に付き、接待を行う飲食店をいいます。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%90%E3%82%AF%E3%83%A9
キャバクラは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営
法」といいます。)2条1項1号に該当する風俗営業です。
風営法2条1項
この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
1号 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に
遊興又は飲食をさせる営業 (2号以下略)
キャバクラ・ホストクラブ・スナックなどは 1号に規定されていることから、
「1号営業・社交飲食店」と呼ばれています。
キャバクラの営業時間は原則として午前0時までですが、条例に特別の定めがある場合は延長することができます。
3.ガールズバーについて
ガールズバーとは、バーテンダー、従業員が若い女性であり、カウンター越しなどで会話、接客を楽しむことができるショットバーです。
ガールズバーは、バー、酒場と同様の「酒類提供飲食店営業」に該当します。
「酒類提供飲食店営業」は、午前0時から午前6時までの深夜営業が可能です。
つまり、キャバクラが営業できない午前0時以降でも、ガールズバーならお店を開くことが可能になります。
4.キャバクラとガールズバーとの違い
キャバクラとガールズバーとの違いは、「接待」(風営法2条1項1号)の有無です。
「接待」(風営法2条1項1号)とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義され、「営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して3の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うこと」です。
(警察庁生活安全局保安課「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」平成28年2月1日付)。
「3の各号」とは接待の判断基準についての説明であり、具体的には、
(1) 談笑・お酌等
特定少数の客の近くに「はべり」、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲 食
物を提供したりする行為は接待に当たる。
これに対して、お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、 客
の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけ
の行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をした
りする程度の行為は、接待に当たりません。
(6) その他
客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為は、接待に当たる。
ただし、社交儀礼上の握手、酔客の介抱のために必要な限度での接触等は、接待に
当たらない。
また、客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為も接待に当たる。
これに対して、単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、 コー
ト等を預かる行為等は、接待に当たりません。
5.ガールズバーを始めるにあたって・・・
このように、接待の判断基準が定められていることを見ると、
ガールズバーでは、
⑴ カウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供する
⑵ これらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をし
たりする程度の行為
⑶ 社交儀礼上の握手、酔客の介抱のために必要な限度での接触等
⑷ 単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、 コート等
を預かる行為
であれば営業可能です。
6.おわりに
ガールズバーとキャバクラは、ともに女性が接客し、アルコールを提供する点においては共通しますが、お店の形態は、かなり異なるといえます。
ただ、実際の運用では、その違いを明確に理解していない客(主に酔客)も多く、店側としては、サービス提供時に客に明確な説明を行うことがトラブルを回避するために必要であるといえます。