市民後見人になりませんか?

1.はじめに

 市民後見人という言葉をご存じでしょうか。

 後見人というと、弁護士や司法書士などの専門家が行う者と考える方が多いのですが、実は、法的な資格を有しない方でも後見人になることができます。

 それが、市民後見人(市民後見制度)です。

 つまり、市民後見人(市民後見制度)は、専門家ではなくボランティアの市民で後見業務を行う制度です。

 今回は、市民後見人の業務内容や、市民後見人になるためにはどうしたらいいのかなど解説していきます。

 

 2.市民後見人について

  後見人は、認知症などによって判断能力が不十分と認定された高齢者を支援し、ご 

 本人の介護の支援や身の回りの世話、本人に代わって公共料金の支払いを行ったり、

 代理として契約を結んだり、財産を管理する役割を果たします。

 

  後見人は、毎月「報告書」という形で支援内容について裁判所に報告するなど、家

 庭裁判所の監督を受けながら後見職務に従事します。

 

  成年後見人となる親族や親戚が誰もいない、専門職の後見人を選任するだけの資力

 がないなどケースがかなり増えており、その対応が僅々の課題となっています。

  被後見人の需要に応えるために、誕生した制度が市民後見人です。

 

 3.市民後見人について

  市民後見人になるために資格は必要ありません。

 市区町村の後見人養成講座を受けて市民後見人として市民後見バンクに登録してお

 き、家庭裁判所に選任されることで市民後見人となります。

 

  墨田区では、社会福祉協議会が「市民後見人養成事業」を開催していますので、興

 味のある方は、是非登録してみて下さい。

  なお、葛飾区では、成年後見センターにて「市民後見人養成講座説明会」を開催し

 ており、ご参考として、掲載します。

 https://www.katsushika-shakyo.com/files/7315/3422/3239/30.pdf

 https://www.sumida-shakyo.or.jp/service/cate04/shimin

 

 4.市民後見人になるには・・・

  市民後見人には、各自治体の成年後見センターや社会福祉協議会などが実施してい

 る養成講座に応募します。

  その後、成年後見制度に関する法律や制度、活動事例、体験実習や福祉に関する必

 要な知識等についての研修を受講し、市民後見人の候補者として登録を行います。

 

  研修の講師は、弁護士、司法書士NPO法人の理事、社会福祉士、大学教授、後見 

 センターや社会福祉協議会のスタッフ、医療従事者や看護師等様々な方がそれぞれの

 視点で、講義や実習を行います。

 

  一連の研修を受けることで、成年後見人として活動するうえでの必要となる知識や

 技術が身に着く内容となっています。

  私も、杉並区の成年後見センターにて講師を行いましたが、皆さん真剣な眼差し

 で、質問が多く、終了時間を大幅に超えてしまったこともありました。

 

  登録後に家庭裁判所から選任されることで、市民後見人としての仕事がスタートし

 ます。

  朝から晩まで、本当にボリュームいっぱいの研修で、学ぶことが多すぎて、大変な

 カリュキュラムですが、参加している皆さんは真剣にノートを取り、その後の実践に

 つなげようと積極的に学んでいます。

 

  市民後見人のカリキュラムは、成年後見人として活動する中で、わからないことが

 出たときに、研修の内容を振り返ることで、解決できるような内容になっています。

  たとえ、その場で理解できなくとも、その後の実践や経験した際に、非常に役立つ

 資料となっています。 

 

  私も、杉並区の成年後見センターにて市民後見人養成研修の講師を行い、「後見

 人と個人情報保護」というテーマで講演させて頂きましたが、皆さん真剣な眼差し

 で、積極的に質問を頂き、終了時間を大幅に超えてしまったこともありました。 

 

5.市民後見人になる前の心掛け・・・

  市民後見人は、高齢で認知症などにより判断力が十分でない方を支援し、介護や医

 療を受けるためのサポートや代理として契約を交わしたり、財産管理を行うとても重

 要な職務です。

  市民後見人になるには、法律的な知識や後見制度の趣旨を理解し、「本人の意思決

 定の実現」と「適切な財産の管理」を行えるよう、日々の被後見人をサポートし、見

 守る必要があります。

 

 ※ちなみに、市民後見人は、基本的にボランティア(無償)になります。

  一定の手続きを行うことで報酬を得ることもありますが、

  原則として、無償奉仕であることをご理解下さい。。。

 

 市民後見人の方にインタビューすると、

 「後見業務はとても大変で、疲れます。」

 「日々答えがないので、判断に迷うこともある」

 「特に、お金の管理は、数字を間違えない、領収書は全て保管する。裁判所への報告 

 を欠かさず行うことを絶対に忘れない」

 

 など苦労話をしてくださる方もいらっしゃる一方で、

 

 「他人の人生を預かる気持ちで、とても責任感をある仕事」

 「誰も助けてくれないなかで自分が頼りにされていると思うと身が引き締まる思い」

 などやりがいを持って取り組んでいる後見人もいらっしゃいます。

 

6.さいごに

  市民後見人は、高齢化社会において欠かせない存在となってきています。

 誰も身寄りがいない方を、「誰も社会から取り残されない」よう、市民後見人を含め

 地域の方々がサポートすることが不可欠です。

  皆様も、市民後見人になってみませんか?