レピュテーションリスクについて
1.はじめに
アルバイトが厨房内で悪ふざけをしている動画がSNSで配信されたというケース
が散見されています。
このようないたずら行為により、その企業のブランドや好感度、評判を落とすこと
につながりかねません。
企業として、アルバイトに損害賠償請求を行うことは当然としても、一度傷ついた
ブランドや評判は簡単には回復できません。
そこで、今回は、レピュテーションリスクについてお伝えします。
2.レピュテーションリスクとは・・・
レピュテーションリスクとは、企業に関するネガティブな評価が広まった結果、企
業の信用やブランド価値が低下し損失を被るリスクのことです。
SNSの爆発的普及は、誰でも簡単に写真や動画を発信することができるため、写真
や動画が一気に拡散することで、企業のブランドに直接影響することが生じます。
そこで、企業にとって、悪い評判や好ましくない行為を発信させないリスク管理が
問われるようになりました。
3.レピュテーションリスクの例
⑴ 内部告発型
企業の労働者(コンビニや飲食店のアルバイトを含む)が、雇用関係の不満や適
切な労働環境を求める、従業員の不正行為により内部告発を外部に訴えるために、
レピュテーションリスクに該当する行為を行うことがあります。
⑵ バイトテロ型
アルバイトがYouTube等の閲覧数を稼ぐため、「いたずら」目的や評判を買う
ことを目的として、レピュテーションリスクに該当する行為を行う場合です。
⑶ クレーム型
「Amazon」や「Google」といったプラットフォームにクレームやネガティブコ
メントを載せて、商品の品質が悪い、企業の対応の悪さを不特定多数に公表する
ことを目的に行う場合
⑷ 環境型
海外でよくある場合ですが、政権の政策と異なる、中国の方針と異なる企業に
対して不買運動を行う(ウイグル族の強制労働を懸念したUNIQLOやナイキに対
する行動)
https://mainichi.jp/articles/20210728/k00/00m/030/050000c
環境に配慮しない商品作りに対して抗議を行う意図で、SNSでその企業に対し
てネガティブメッセージを送る場合などがあります。
4. レピュテーションリスクの原因
レピュテーションリスクの原因は、大きく分けて2つあると考えられます。
⑴ コンプライアンスを含めた社内体制
内部告発型やクレーム型のレピュテーションリスクは、企業側にも責任がある場
合があります。
労働基準準法をはじめとした各種法令の遵守の徹底、不正行為やハラスメントの
窓口を設置し、社員とのコミュニケーションが適切にできているか「働きやすい環
境」を作ることも企業の責任の1つです。
企業として、組織の構造的な体質として基本的なコンプライアンスを遵守し、社
内体制の適切な整備を今一度改めて確認する必要があります。
「働きやすい職場環境」の参考として、労働安全衛生法に基づく指針があります。
労働安全衛生法では、快適職場づくりが事業者の努力義務とされ(第71条の2)、
第71条の3の規定により「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に
関する指針」(快適職場指針)が厚生労働大臣から公表されています。
この快適職場指針のめざすものは、
「仕事による疲労やストレスを感じることの少ない、働きやすい職場づくり」です。
快適職場指針では
「作業環境の管理」
「作業方法の改善」
「労働者の心身の疲労の回復を図るための施設・設備の設置・整備」
「その他の施設・設備の維持管理」
の4つの視点から措置を講じることが望ましいとされています。
⑵社員教育
バイトテロ型の根本の原因は、社員教育の不徹底です。
バイトだからと軽い気持ちで扱い、社内の教育ができていないと、何をしても許
される、怒られない、俺は関係ないといたずらはエスカレートしていき、同じよう
な模倣犯が増えていくリスクもあります。
違反を厳しく罰しても、抜本的な解決にはつながりません。
「人材は宝」と昔から言われるように、人材に投資をしなければ、企業の成長につ
ながらないどころか、テロを起こされるような時代です。
5.結論
レピュテーションリスクを引き起こさないためにも、まずは、社内体制の整備・コ
ンプライアンス意識の徹底を社内共有することが重要です。
加えて、人材に投資し、人を育てることにもっと資金を投じる必要があります。
「権限の委譲」と「責任の付与」
この2つを利用して、バイトであっても責任感を持って働けるような職場環境を作
り上げること、お客様が安心して買って頂けるよう社員教育を丁寧に行うことがレピ
ュテーションリスクを教訓にした今の企業に問われていることであると思われます。