連れ子と養子縁組

1.はじめに

  離婚した後、別の配偶者と再婚することがありますが、その際に問題とあるのが、子の親権に関する事柄です。

 子の親権は母親になるケースが多いのですが、連れ子に関して新夫との間で養子縁組を行うことがあります。

 今回は、連れ子と養子縁組した場合についてお伝えします。

 

2.養育費について

 養育費とは、子の生活を維持するために必要な費用であり、主に元夫が妻に支払います。

 子のある夫婦が離婚した場合、多くの場合、養育費を定めて、夫が妻に一定の金銭を支払うことになります。

 この養育費は、夫の子に対する扶養義務から生じるものです。

 

3.連れ子の場合、新夫と養子縁組する必要

 いわゆる連れ子の場合、妻と新夫との間に生じた子ではありませんので、親子関係はありません。

 また、連れ子と新夫との間には血縁関係がありませんので、「認知」もできません。

そのため、養子縁組を行うことで、戸籍上親子関係を構築することができるのです。

 

4.養子縁組と養育費について

 ①養子縁組をしない場合

 子を養育している親(妻)が再婚しても、それだけでは子を監護していない親(前夫)の養育費の支払い義務は消滅しません。

再婚しても、「新夫と子には親子関係が無い」以上、新夫には子に対する扶養義務がないからです。(親子関係を構築するため養子縁組を行うのですね。)

 そのため、極論を言えば、妻と新夫が子と同居していても、新夫は子に対して、養育費を負担しなくても良いことになっています。

 一方、親と子が別居していても親子関係は続いているので、元夫には養育費支払い義務が認められます。

 

 ②養子縁組を行った場合

 養子縁組が成立すると、養親は子の親となり、養子は養親の子となります。

 血縁がなくても法律上「親子」となり、お互いに遺産を相続する権利も発生します。

 養子縁組が成立すると、養親には養子の扶養義務が発生します。

 同居している新夫と子が養子縁組をしたら、養親である新夫が第一次的に子を扶養する義務が発生することになります。

 そのため、離れて暮らしている前夫は、その限りで養育費の負担をしなくて良いことになります。

 つまり、養子縁組をしたら基本的には元夫に養育費を請求できなくなります。

 

5.養子縁組のメリット、デメリット

①養子縁組のメリット

 もし、新夫と子が養子縁組をしないと、新夫と子は、親子関係がなく、戸籍も別になり苗字も同じになりません。あなたが新夫の戸籍に入ったら、あなたと子の戸籍が分かれてしまいます。
 また、新夫と子との間には遺産を相続する権利も発生しないので、将来新夫が死亡しても子はその遺産を相続できません。

 養子縁組をすれば、子は新夫やあなたと同じ戸籍に入りますし、将来新夫が死亡したら子はその遺産を相続することができます。

 

②養子縁組のデメリット

 いったん養子縁組をした場合、将来その相手と離婚する際に子と養親との親子関係を解消するためには、「離縁」の手続きをする必要があります。

 新夫と離婚する場合、養子縁組の解消に同意することも多いですが、離縁に同意しない場合、いつまでも離縁に関する交渉が続き、戸籍上では、いつまでも養子の関係が続いてしまいます。

 

6.再婚相手との養子縁組を元配偶者に知らせるべきか

 新夫と子を養子縁組させた場合、戸籍を取り寄せない限り、元夫は気付くことは困難ですから、養育費を払い続けるかと思われます。

 そうであれば、「元夫に知らせずに養育費をもらい続ければ良いのでは?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
 しかし、虚偽や矛盾する説明は、後に金銭的なトラブル(養育費の返還請求等)になる可能性が非常に高いです。
 そのため、後にトラブルにならないためにも、養子縁組が成立しましたら、可能な限り元夫に伝えたほうがよいと思います。

 

7.最後に

 養子縁組にすることで戸籍上の親子関係を構築できる一方、元夫からの養育費が停止された、新夫には子に対する扶養義務が生じます。

 将来を見据えて、本当に子として養育できる収入や生活基盤があるのか、生活を続けられる経済力や生活基盤、子の精神面等をしっくり検討されることをおススメします。

離婚と暗号資産

1.はじめに

暗号資産を保有している方の離婚の相談を数件受けました。

そこで、離婚の際に暗号資産が問題となったケースをいくつかご紹介します。

 

2.離婚原因

例えば、夫が暗号資産やFX取引にハマってしまい、多額の借金を抱えている。

このままでは生活できないので、夫と離婚したいといった妻からの相談があったとします。

 

この場合、離婚は認められるのでしょうか

離婚原因は、民法770条1項に記載しています。

具体的には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するかどうかになります。

「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」とは、総合的な事情を考慮しても、夫婦関係の継続または回復が期待することができず、夫婦関係が破綻している場合をいいます。

暗号資産の取引が原因とは言え、多額の借金が原因で生活費を入れてくれない、借金を押し付けされ、支払いを求められているなど夫婦関係の継続が難しい状況であれば、夫婦関係が破綻しているといえ、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する可能性があり、離婚が認められる可能性があります。

 

3.暗号資産と財産分与

 実際に離婚の手続きを行う場合には、離婚の成立以外にも、財産分与、養育費、慰謝料等の問題も議論することになります。

 では、夫が暗号資産を保有している場合、財産分与の対象となるのでしょうか。

 暗号資産も財産的価値ですから、財産分与の対象になります。

 財産分与の対象時期は、原則として別居時ですから、婚姻時から別居時までに購入し た暗号資産は実質的に共有財産として考えられるため、原則としては、財産分与に含まれます。

 一方で、暗号資産が特有財産に該当した場合には、財産分与には含まれません。

 特有財産とは、夫婦一方が、夫婦の協力関係によらずに単独で得た財産をいいます。

 例えば、婚姻前に有していた資産、相続や贈与で得た資産などをいいます。

 暗号資産は、多額かつ大量の取引を行っているケースが多く、その金銭の出所がつかみにくいという傾向にあります。

  れでも、婚姻後に多額かつ大量の取引を行えば、その資金は、婚姻後に得た資金を利用していたのではないかと考えることが自然です。

 共有財産を原資とした暗号資産の取引の利益については、基本的には共有財産と考えられます。

 

4.慰謝料や養育費を暗号資産で支払うことはできるか

 現金よりも暗号資産のほうが多く保有している夫から、離婚の際の慰謝料や養育費を暗号資産で支払うことはできるかというご相談を受けました。

 

 結論から言えば、慰謝料及び養育費を暗号資産で支払うことは難しいと思われます。

 

 ①慰謝料について

 慰謝料の根拠は、不法行為に基づく損害賠償請求権です(民法709条)。

 不法行為に基づく損害賠償の方法は、民法は金銭賠償を基本としており(民法722条1項、417条)、原則としては金銭での支払いが求められます。

ただし、当事者が別段の合意をすれば、金銭以外の支払いつまり暗号資産での支払いも可能です。

 では、相手方が同意するかというと、現実的にはかなり難しいように思えます。

 相手方つまり妻側としては、通常はすぐに換価できる金銭を支払い方法として求めます。暗号資産での支払いを望む方は1人もいません。

 相手方にメリットがあれば、暗号資産による支払いも可能のように思えますが、暗号資産の口座開設の必要性や換金の手間を要すること(暗号資産の取引に精通していないと、正直暗号資産を受け取っても困ってしまいます。)を考えると、相手方が暗号資産の支払いに応じない可能性が非常に高いといえ、結局金銭での支払いとなってしまうと思われます。

② 養育費について

 養育費の性質は、子が日々の生活をするために必要な金銭ですから、当然ながら金銭を想定しています。当事者が別段の合意をすれば、金銭以外の支払いつまり暗号資産での支払いも不可能とはいえませんが、暗号資産の場合、価値が急落してしまうと、定められた養育費では生活できないリスクが生じ、養育費としての本来の性質を維持することができなくなってしまいます。

 そのため、裁判所としても、養育費の支払いに関しては、暗号資産による支払いを認めず、金銭による支払いを求めると思われます。

 

5.最後に

 暗号資産という新しい決済手段に対し、離婚に伴う法制度や手続きが追い付いていないという現実もあります。

 今後、暗号資産がますます広がっていく中で、暗号資産も支払い方法として認めるよう法制度改革や手続自体を変えていくことが必要になると思われます。

最低賃金法について

1.はじめに

  今年度の最低賃金(時給)について、中央最低賃金審議会厚生労働相の諮問機 

 関)の小委員会は28日、引き上げ額の目安を全国平均で41円と決まりました。

 

  目安通りに改定されれば最低賃金の全国平均は初めて1000円台に達し、現在の961円から1002円となります。

引用先:https://www.yomiuri.co.jp/economy/20230728-OYT1T50316/#:~:text=%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E5%BA%A6%E3%81%AE%E6%9C%80%E4%BD%8E%E8%B3%83%E9%87%91,%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%90%EF%BC%92%E5%86%86%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%80%82

 

 今回中央最低賃金審議会で決定した、各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク41円Bランク40円Cランク39円です。

 仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均が1,002円となり、初めて「全国平均時給1000円を超えた」ということなります。

 なお、都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けて、引上げ額の目安を提示している。現在、Aランクで6都府県、Bランクで28道府県、Cランクで13県となっています。

 

 (参考)各都道府県に適用される目安のランク

ランク

都道府県

埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪

北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡

青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄

 

 

 最低賃金は、最低賃金法という法律に規定されています。

 そこで、今回は、最低賃金についてお話します。

 

2.最低賃金制度について

  最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を定め、使用者は、 

 その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

 

  仮に、最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それ

 は法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

  また、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支

 払わなくてはなりません。

 

3.最低賃金の対象

  最低賃金法の対象は、時間給つまり「時給」です。

  労働者に支給される金銭等は様々ですが、最低賃金の対象は、労働者に対して「1

 か月ごとに支払われる基本給」のみです。

 

4.最低賃金の種類

  最低賃金の種類としては、「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」があ

 ります。

 ⑴ 「地域別最低賃金

   地域別最低賃金は各都道府県につき1つの金額が定められており、産業や職種に

  かかわりなくそのエリアの事業所すべてに適用されます。

   また、最低賃金は正社員だけでなく契約社員派遣社員、臨時や嘱託の職員、パ

  ートやアルバイトなど、あらゆる雇用形態に適用されます。


   地域別最低賃金には、すべての労働者の最低限の生活を保証するセーフティー

  ットの意味合いがあり、日本国憲法で定められている健康的で文化的な最低限度の

  生活を、すべての労働者が営むことができるよう配慮されています。


   最低賃金は、国内の最低賃金を総括する中央最低賃金審議会という機関で毎年、

  地方最低賃金審議会に対して最低賃金額改訂のための目安を提示し、地方最低賃金

  審議会はこの目安や地域の実情を加味し、最低賃金の具体的な金額を決定していき

  ます。

  「1.はじめに」に掲載した記事にも「中央最低賃金審議会」が時給を決定したと

  ありますが、これは、地方最低賃金審議会に対して最低賃金額改訂のための目安を

  提示するという意味合いがあります。

   ただ、実際には、今後各地方最低賃金審議会で、目安の提示を参考にしつつ、賃

  金の実態調査や参考人の意見等も踏まえたうえで、各党道府県労働局長が地域別最

  低賃金を決定することになります。 

 

 ⑵ 「特定(産業別)最低賃金

   特定の産業に対して定められた最低賃金は特定(産業別)最低賃金といいます。
   業種によっては、地域別最低賃金よりも高い水準の最低賃金を定めなければ、従

  事する労働者が不合理な扱いをうける可能性があります。

   そこで、特定の業種に従事する人が損をせず働けるよう、厚生労働省は関係労使

  の申し出に基づいて特定最低賃金の調査や審議をおこなっています。
   特定最低賃金は、製造業や鉄鋼業、特定の商品を販売する小売業などの特定の業

  種に対して定められます。

   なお、地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が同時に適用される場合には、より

  高い方の最低賃金額を支払うことになります。

 

   地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法による罰則(5

  0万円以下の罰金)が定められ、

   特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法による

  罰則(30万円以下の罰金)が適用されます。

 

5.最低賃金法の例外適用について

  労働者を雇用するときには、原則としては地域別最低賃金以上の給与を支払わなけ

 ればなりません。

  ただし、特定の状況によっては最低賃金を個別に減額して雇用をおこなうことが可

 能な場合もあります。


  地域別最低賃金の適用外になる人には以下のような条件があります。

  • 精神・身体の障害によって労働能力が著しく低い
  • 試用期間中である
  • 認定職業訓練を受けており、厚生労働省令で定められている一部の労働者
  • 軽易な業務に従事している
  • 実作業時間が少ない断続的労働に従事している

 また、特定最低賃金の適用外になる場合は以下の通りです。

  • 18歳未満または65歳以上である
  • 雇入後一定期間を経過しておらず技能を習得中である
  • 該当する業種に特有の軽易な業務に従事している

  これらの条件に該当する方に関しては、最低賃金を適用すると雇用の機会を失ってしまう可能性があります。

 

  あらゆる人が社会で活躍できるよう、また人材を育てる目的から、地域別最低賃金または特定最低賃金の減額の特例が認められる場合があります。

 

6.おわりに

  最低賃金は、企業として最低限守らなければならない約束事です。

  物価が高まる中で、企業としても人件費の高まりは悩みの種であると思います。

  それでも、労働者の生活を守るためには、全国平均時給1000円以上が求められ

 る時代となりました。

  企業としても、労働者に労働の対価である賃金を支払えるよう、効率的な収益を得

 られるようさらに改善していく必要があります。

アファーマティブ・アクションについて

1.はじめに

   米ハーバード大などの入学選考で黒人や中南米系を優遇する積極的差別是正措置 (アファーマティブ・アクション)の是非が争われた訴訟で、米連邦最高裁は6月29 

 日、措置が法の下の平等を定めた憲法に違反しているとの判断を示しました。  

  https://www.tokyo-np.co.jp/article/260124  

  この米連邦最高裁の判断は、今後の全米を含めた世界の教育機関の入試に多大な影

 響を与える重要な判断です。


  そこで、今回は、アファーマティブ・アクションについてご説明します。


2.アファーマティブ・アクションとは・・

   アファーマティブ・アクションの名称は、ケネディ大統領時代に施行されたマイノ

 リティ差別是正政策がその始まりです。

  欧州や国連、日本では「ポジティブ・アクシヨン」、カナダでは 「employment

 equity(雇用衡平)」と呼ばれ、国や地域によってその名称は異なります。

 

  アファーマティブ・アクションの趣旨は、

  長年形成された「仕事における男女の役割分担意識」などの慣習や固定観念に起因

 する差別は、根深いものがあり、単に法律を制定して、周知するだけでは、すぐに

 是正することは難しいのが現実です。

  それゆえ、そのような現実問題を直視したうえで、

  民族的・宗教的マイノリティや女性、障害者、高齢者等のマイノリティに対して、

 形式的な「法的平等」(形式的平等)だけでなく、実質的な機会(優遇制度)を与え

 る「実質的な平等」(実質的平等)を実現するための施策です。


3   アファーマティブ・アクションの目的
  アファーマティブ・アクションの目的は機会の均等を実現することにあります。


  過去の慣習・制度によって生じた男女の差をなくし、マイノリティとマジョリティを

 同じスタートラインに立たせることが目的です。


  したがって、アファーマティブ・アクションを実現するためには、マイノリティに

 一定の割合や人数の配置を厳格に強制する「クォータ」制(割り当て制)よりも、機

 会の均等を実現し、結果としての数値を目標として掲げる「ゴール&タイムテーブ

 ル」の採用を考えるべきです。


4   アファーマティブ・アクションの適用分野
  アファーマティブ・アクションが適用される分野としては、会社への就職・雇用

 (労働)の他、大学や教育機関への入試(教育)、政策決定や行政判断のための委員

 会・審議会等の委員に関する男女割合(政治・行政)等多岐に亘ります。
 

 1)教育の分野

   教育の分野では、米国で政府から助成金を受けている私立大学や州立大学が、機

  会の均等付与のために、入試や職員の採用枠にマイノリティの優先枠を設けている

  例があります。


 2)政治・行政の分野
   政治・行政の分野では、ベルギーで国の諮問機関の委員を決める際に男女1名ず

  つの推薦を義務づけていることや、ノルウエーでは男女平等法により審議会メンバ

  ーなど公的方針決定機関において一方の性が全体の40%を下回ってはならないとの

  規定があります。


5.アファーマティブ・アクションの根拠 
  アファーマティブ・アクションの法的根拠としては、

  日本国憲法(14条1項)の平等規定及び憲法14条1項の平等の規定は、個々の

 ケースに基づき「実質的な平等」を求めていることにあります。

  米国では行政規則に基づくエグゼクティブ・オーダー(大統領命令)を行うことが

 できることが特徴的です。

  エグゼクティブ・オーダーでは、連邦政府契約として1万ドル以上の公共事業契約

 を政府との間に締結した企業は、雇用差別の是正策を計画して書面化し実行に移さな

 ければならないといった命令を下すことができます。


6.   企業におけるアファーマティブ・アクションの実施
      計画の策定から実行までの4段階が理想です。

 

(1)   雇用差別の禁止、実施表明
    就業規則等により、女性や人種的マイノリティに対する雇用差別の禁止を全従

   業員に対して表明し、アファーマティブ・アクションに対応する具体的な策定

   し、これを実行する責任者を選任すること。


(2)  従業員の活用分析
    米国では、全従業員に占める、人種別・男女別の構成比等を算出し、統計値を

   明示した資料を作成して従業員の活用状況を分析しています。
    多様な人種が存在するアメリカの特殊な事情を踏まえており、日本とは社会的

   背景が異なるものの、参考すべき方法です。


(3)   計画の作成、目標の設定

    会社の役員や労働組合、マイノリティの代表と協議の上、具体的な計画(ゴー

   ル&タイムテーブル)を策定する。


(4) 計画の実行、点検・評価、見直し
    計画を実行し、実施状況が点検・評価され、進捗状況を把握しながら、計画の  

   見直しをはかり、定期的に協議して、是正・改善を図る。


7   最近の情勢
  米国では、アファーマティブ・アクション制度が男性や白人に対する逆差別である

 との意見があることも事実です。


  それゆえ、米連邦裁判所の多数派意見は「多くの大学は長期間にわたり、身に付け 

 た能力や学力ではなく、肌の色を基準にするという誤った結論を下してきた。憲法は 

 そのような選択を容認しない。と厳しい判断を下したともいえます。


  アファーマティブ・アクションはもともと民主党の政策であるため、米連邦裁判所 

 の多数派が共和党から指名されている情勢下では、その修正を余儀なくされたともいえます。


8.おわりに

  日本では、アファーマティブ・アクション導入の議論はあまり進んでいません。
  身障者雇用促進法、男女雇用均等法などで、アファーマティブ・アクションの表れ

 を見ることができますが、特に、政治・行政の部門は世界から遅れをとっています。


  行政が積極的にアファーマティブ・アクションを推進する必要があります。
  例えば、行政契約は、アファーマティブ・アクションを積極的に採用する企業を優

 遇する、各部署の性差の割合を各40%以上にする、障害者を積極的に採用するなど

 行政が積極的にアファーマティブ・アクションを推進することが、SDGSの「誰も置

 き去りにしないために」を実現する方法であると思います。

 

消費者団体訴訟制度について

1.紛争管理論について

  環境問題や消費者問題など多数の被害者が被害を受けている場合に、個々の被害者

 が裁判を提起することは、非常に大変なことです。

  先に、他の方が同様の訴訟をしているのであれば、裁判を一本化して専門の団体を

 紛争管理権者として訴訟を委ねたほうが、訴訟経済的にも被害者本人のためにもなり

 ます。

  この考え方は伊藤眞教授が提唱された「紛争管理論」といいます。

  判例最判昭和60年12月20日 豊前火力発電所建設差止訴訟)においては、

 原告7名が地域住民の代表として操業停止等を訴えましたが、紛争管理論は、法律の

 規定ないし当事者の授権なくして第三者が訴訟追行する根拠に乏しく、採用できない

 とされてしまいました。

   この紛争管理論の理念である「多数の被害者が想定できる公害事件や消費者問題

 等において、第三者に訴訟を委ね、被害者本人の訴訟上の利益を図る」ことが消費者

 団体訴訟制度につながっているのです。

  今回は、消費者団体訴訟制度についてご説明します。

 

2.判例の問題点

  上記判例が指摘した問題点は2つあります。

  「法律の規定」と「授権の問題」です。

 ⑴ 法律の規定

   消費者が団体に訴訟を委ねて権利保護を得るためには、新たな法律の規定が必要

  になりました。

   そこで、消費者契約法12条以下にて規定が設けられ、消費者団体訴訟制度の立

  法の問題は解消されました。

 ⑵ 授権の問題

   「授権の問題」は、被害者救済の観点からみれば、被害者としての適格性が認め

  られるのであれば、比較的容易な手続きで行われるべきです。

   そのため、団体が呼びかけ、該当する被害者がこれに申請する形が適切です。

 ⑶ 団体の適格性

   なお、団体の適格性については、特定の問題(例えば、環境問題であれば、特定 

  の地域の環境保全を行う者)や具体性(特定の商品の被害を受けた被害者を原告と  

  して、企業に差し止めを求める)などをクリアすることで解消できます。

 

3.消費者団体訴訟制度

  消費者被害の問題は、被害者が拡散的に同時に多発するも、被害者は事業者との間 

 に情報の質及び量並びに交渉力の格差等があり、消費者は被害回復のための行動を取

 りにくく、誰にも相談せず「泣き寝入り」となることも少なくありません。

   そして、訴訟制度の利用については、そもそも、被害に遭っているとの認識を持っ

 ておらず、返還請求等ができるとは知らない場合や、少額な請求となる場合も多く、

 訴訟には相応の費用・労力を要すること等から、個々の消費者が訴訟制度を利用して

 被害回復を図ることは、現実的ではないことは前述しました

 

  そこで、国の認定を受けた特定の消費者団体が消費者被害の拡大を防止し、被害回

 復を図るために、消費者の代表となって差止請求、被害回復制度を行う制度を

「消費者団体訴訟制度」といいます。

 

4.消費者団体の種類

  消費者団体の種類としては、「適格消費者団体」と「特定適格消費者団体」があり

 ます。

 ⑴ 適格消費者団体

   適格消費者団体とは、「不当な勧誘」、「不当な契約条項」、「不当な表示」な

  どを事業者にやめるように求める差止請求を行うのに必要な適格性を有するとし

  て、内閣総理大臣の認定を受けた消費者団体です。

   また、特定適格消費者団体とは、多数の消費者に共通して生じた財産的被害につ

  いて、被害回復裁判手続を行うのに必要な適格性を有するとして、内閣総理大臣の  

  認定を受けた消費者団体です。

 

5.差止請求について

 ⑴ 差し止め請求の流れ

   適格消費者団体が行う差し止め請求の手続の流れは以下のとおりです。

  ① 消費者からの情報提供などにより被害情報を収集・分析・調査
  ② 事業者に対し、業務改善を申し入れ(裁判外の交渉)
  ③ 団体と事業者で協議
  ④(交渉成立の場合)事業者による業務改善
  ⑤(交渉不成立の場合)事業者に対し、提訴前の書面による事前請求をした上、裁

   判所へ訴え提起
  ⑥ 判決、または裁判上の和解

→決して、裁判だけが手段ではなく、団体と協議の上で解決手段を見出すことに特徴があります。

 

 ⑵ 差し止め請求の対象

  差止請求の対象となるのは、

  「消費者契約法」「景品表示法」「特定商取引法」「食品表示法」に違反する不当

  な行為です。

  →消費者保護、消費者の権利保護を実現するための制度です。

 

 ⑶ 具体例

   結婚式場の披露宴に関する規約で、利用者が披露宴の1年以上前に契約を取り消

  した場合でも、事業者は、申込金10万円全額を返還しないとする条項が存在した。


→ 披露宴の1年以上前には、事業者側において、具体的な準備が行われないとして、

  適格消費者団体が協議により、当該条項の削除を求めた結果、事業者は当該条項を

  削除した。

  その他差し止めが可能になった例として、

 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_system/collective_litigation_system/about_system/case_examples_of_injunction/pdf/consumer_system_cms204_190903_06.pdf

 

6. 被害回復について

 ⑴ 被害回復の手続きの流れ

  ① 第1段階
   適格消費者団体の中から新たに認定を受ける「特定適格消費者団体」が、事業者 

   側の責任確定のために提訴

  ② 第2段階(勝訴判決や和解によって、事業者側の責任が確定した場合)

    特定適格消費者団体が裁判所に個別の消費者の債権を確定するための手続に入

   ることの申立て
   ※令和4年改正法の施行後は、第1段階での和解が柔軟化されたことに伴い、第

    2段階の手続に進むことなく和解内容に則って被害回復が図られることも可能 

    となります(改正法の施行日は、令和5年(2023年)10月1日)。

 

  ③ 特定適格消費者団体から対象となる消費者へ情報提供

  ④消費者が特定適格消費者団体に依頼(授権)

  ⑤特定適格消費者団体は依頼(授権)のある消費者の債権を集約して裁判所に届出

 

  ⑥裁判をせずに、事業者と特定適格消費者団体(消費者)間の協議による決着も可

   能だが、決着が付かない場合は裁判所が簡易な手続のもとで決定を行う(簡易確

   定決定)

   ⑴ 簡易確定決定に異議がある場合は、通常の訴訟手続へ移行

   ⑵ 協議内容や簡易確定決定に従い、届出を行った消費者に対して事業者が金銭

    を支払う(支払わない場合には強制執行も可)

 

 

参照:https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201401/3.html

 

 ⑵ 被害回復の対象

  事業者が消費者に対して負う金銭の支払義務であって、

  消費者契約に関する「契約上の債務の履行の請求」

           「不当利得に係る請求」

           「契約上の債務の不履行による損害賠償の請求」

           「不法行為に基づく損害賠償の請求」

   が対象となります。


  このうち、損害賠償請求において、いわゆる拡大損害、人身損害、逸失利益、慰謝

 料は対象となりません。ただし、令和4年改正法の施行後は、一定の慰謝料が対象に

 なります。
  また、対象となる被告は基本的には「事業者」ですが、令和4年改正法の施行後は

 悪質商法に関与した個人(所定の要件に該当する事業監督者・被用者)が対象となり

 ます(改正法の施行日は、令和5年(2023年)10月1日)。


6 おわりに

  今後は、悪徳商法に関与した個人にも適用されるため、利用がしやすくなると思わ

 れます。

  消費者の被害が拡大しないよう、積極的に消費者団体が関与することが大切です。

  消費者も、被害にあったら、すぐに警察や国民生活センターに報告すること、消費

 者庁や国民生活センターのHPを確認することが、被害拡大や被害回復のために必要で

 あると思われます。

市民後見人になりませんか?

1.はじめに

 市民後見人という言葉をご存じでしょうか。

 後見人というと、弁護士や司法書士などの専門家が行う者と考える方が多いのですが、実は、法的な資格を有しない方でも後見人になることができます。

 それが、市民後見人(市民後見制度)です。

 つまり、市民後見人(市民後見制度)は、専門家ではなくボランティアの市民で後見業務を行う制度です。

 今回は、市民後見人の業務内容や、市民後見人になるためにはどうしたらいいのかなど解説していきます。

 

 2.市民後見人について

  後見人は、認知症などによって判断能力が不十分と認定された高齢者を支援し、ご 

 本人の介護の支援や身の回りの世話、本人に代わって公共料金の支払いを行ったり、

 代理として契約を結んだり、財産を管理する役割を果たします。

 

  後見人は、毎月「報告書」という形で支援内容について裁判所に報告するなど、家

 庭裁判所の監督を受けながら後見職務に従事します。

 

  成年後見人となる親族や親戚が誰もいない、専門職の後見人を選任するだけの資力

 がないなどケースがかなり増えており、その対応が僅々の課題となっています。

  被後見人の需要に応えるために、誕生した制度が市民後見人です。

 

 3.市民後見人について

  市民後見人になるために資格は必要ありません。

 市区町村の後見人養成講座を受けて市民後見人として市民後見バンクに登録してお

 き、家庭裁判所に選任されることで市民後見人となります。

 

  墨田区では、社会福祉協議会が「市民後見人養成事業」を開催していますので、興

 味のある方は、是非登録してみて下さい。

  なお、葛飾区では、成年後見センターにて「市民後見人養成講座説明会」を開催し

 ており、ご参考として、掲載します。

 https://www.katsushika-shakyo.com/files/7315/3422/3239/30.pdf

 https://www.sumida-shakyo.or.jp/service/cate04/shimin

 

 4.市民後見人になるには・・・

  市民後見人には、各自治体の成年後見センターや社会福祉協議会などが実施してい

 る養成講座に応募します。

  その後、成年後見制度に関する法律や制度、活動事例、体験実習や福祉に関する必

 要な知識等についての研修を受講し、市民後見人の候補者として登録を行います。

 

  研修の講師は、弁護士、司法書士NPO法人の理事、社会福祉士、大学教授、後見 

 センターや社会福祉協議会のスタッフ、医療従事者や看護師等様々な方がそれぞれの

 視点で、講義や実習を行います。

 

  一連の研修を受けることで、成年後見人として活動するうえでの必要となる知識や

 技術が身に着く内容となっています。

  私も、杉並区の成年後見センターにて講師を行いましたが、皆さん真剣な眼差し

 で、質問が多く、終了時間を大幅に超えてしまったこともありました。

 

  登録後に家庭裁判所から選任されることで、市民後見人としての仕事がスタートし

 ます。

  朝から晩まで、本当にボリュームいっぱいの研修で、学ぶことが多すぎて、大変な

 カリュキュラムですが、参加している皆さんは真剣にノートを取り、その後の実践に

 つなげようと積極的に学んでいます。

 

  市民後見人のカリキュラムは、成年後見人として活動する中で、わからないことが

 出たときに、研修の内容を振り返ることで、解決できるような内容になっています。

  たとえ、その場で理解できなくとも、その後の実践や経験した際に、非常に役立つ

 資料となっています。 

 

  私も、杉並区の成年後見センターにて市民後見人養成研修の講師を行い、「後見

 人と個人情報保護」というテーマで講演させて頂きましたが、皆さん真剣な眼差し

 で、積極的に質問を頂き、終了時間を大幅に超えてしまったこともありました。 

 

5.市民後見人になる前の心掛け・・・

  市民後見人は、高齢で認知症などにより判断力が十分でない方を支援し、介護や医

 療を受けるためのサポートや代理として契約を交わしたり、財産管理を行うとても重

 要な職務です。

  市民後見人になるには、法律的な知識や後見制度の趣旨を理解し、「本人の意思決

 定の実現」と「適切な財産の管理」を行えるよう、日々の被後見人をサポートし、見

 守る必要があります。

 

 ※ちなみに、市民後見人は、基本的にボランティア(無償)になります。

  一定の手続きを行うことで報酬を得ることもありますが、

  原則として、無償奉仕であることをご理解下さい。。。

 

 市民後見人の方にインタビューすると、

 「後見業務はとても大変で、疲れます。」

 「日々答えがないので、判断に迷うこともある」

 「特に、お金の管理は、数字を間違えない、領収書は全て保管する。裁判所への報告 

 を欠かさず行うことを絶対に忘れない」

 

 など苦労話をしてくださる方もいらっしゃる一方で、

 

 「他人の人生を預かる気持ちで、とても責任感をある仕事」

 「誰も助けてくれないなかで自分が頼りにされていると思うと身が引き締まる思い」

 などやりがいを持って取り組んでいる後見人もいらっしゃいます。

 

6.さいごに

  市民後見人は、高齢化社会において欠かせない存在となってきています。

 誰も身寄りがいない方を、「誰も社会から取り残されない」よう、市民後見人を含め

 地域の方々がサポートすることが不可欠です。

  皆様も、市民後見人になってみませんか?

ガールズバーとキャバクラの違い

1.はじめに

 私が勤務している錦糸町は、都内有数の歓楽街です。

 そのため、たくさんのスナック、キャバクラやホストクラブがあります。

 最近、新しい形態であるガールズバーが増えてきました。

 今回は、ガールズバーとキャバクラの違いについてご説明します。

 

2.キャバクラについて

  ウィキペディアによれば、キャバクラとは、「キャバ嬢」(昔の呼び名は、「ホス

 テス」)と呼ばれる女性が客席に付き、接待を行う飲食店をいいます。  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%90%E3%82%AF%E3%83%A9

 

  キャバクラは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風営

 法」といいます。)2条1項1号に該当する風俗営業です。

 

 風営法2条1項
 この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
 1号 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に

   遊興又は飲食をさせる営業 (2号以下略)

 キャバクラ・ホストクラブ・スナックなどは 1号に規定されていることから、

 「1号営業・社交飲食店」と呼ばれています。

 

 キャバクラの営業時間は原則として午前0時までですが、条例に特別の定めがある場合は延長することができます。

 

3.ガールズバーについて

 ガールズバーとは、バーテンダー、従業員が若い女性であり、カウンター越しなどで会話、接客を楽しむことができるショットバーです。

 ガールズバーは、バー、酒場と同様の「酒類提供飲食店営業」に該当します。

酒類提供飲食店営業」は、午前0時から午前6時までの深夜営業が可能です。

 

つまり、キャバクラが営業できない午前0時以降でも、ガールズバーならお店を開くことが可能になります。

 

4.キャバクラとガールズバーとの違い

 キャバクラとガールズバーとの違いは、「接待」(風営法2条1項1号)の有無です。

 「接待」(風営法2条1項1号)とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義され、「営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して3の各号に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うこと」です。

警察庁生活安全局保安課「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」平成28年2月1日付)。

 

「3の各号」とは接待の判断基準についての説明であり、具体的には、

 

 (1)  談笑・お酌等

  特定少数の客の近くに「はべり」、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲 食

  物を提供したりする行為は接待に当たる。

   これに対して、お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、 客

  の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけ

  の行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をした

  りする程度の行為は、接待に当たりません。

(6) その他

   客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為は、接待に当たる。  

  ただし、社交儀礼上の握手、酔客の介抱のために必要な限度での接触は、接待に

 当たらない。

   また、客の口許まで飲食物を差出し、客に飲食させる行為も接待に当たる。

   これに対して、単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、 コー

 ト等を預かる行為等は、接待に当たりません。

 

 

5.ガールズバーを始めるにあたって・・・

 このように、接待の判断基準が定められていることを見ると、

 ガールズバーでは、

⑴ カウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供する

⑵ これらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をし

 たりする程度の行為

⑶ 社交儀礼上の握手、酔客の介抱のために必要な限度での接触

⑷ 単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、 コート等

 を預かる行為

  であれば営業可能です。

 

6.おわりに

  ガールズバーとキャバクラは、ともに女性が接客し、アルコールを提供する点においては共通しますが、お店の形態は、かなり異なるといえます。

 ただ、実際の運用では、その違いを明確に理解していない客(主に酔客)も多く、店側としては、サービス提供時に客に明確な説明を行うことがトラブルを回避するために必要であるといえます。