SNSでのチケットの売買は気を付けて!
1.はじめに
ご相談の内容で、SNSで知り合った人とのチケットのトラブルが増えています。
人気ミュージシャンのチケットが買えなかったので、SNSで「10万円で売りま
す」とあったので10万円を払ったが、チケットは来なかった・・というものです。
今回は、SNSでチケット売買を行う危険についてお伝えします。
2.メルカリやSNSの存在
SNSでチケット販売が多く行われる背景として、メルカリなどのフリマサイトの存
在があります。
物を自由に売り買いできることに慣れていると、チケットだって、自由に売り買い
してもいいと考えるのは、むしろ自然かもしれませんね。
特に、若い方は、SNSが子供の頃から身近にあり、生活の一部となっていることも
あるかもしれません。
子供の頃からスマホを利用し、自由に様々な人と交流できることで警戒感が少なくなっているかもしれません。
3.迷惑防止条例違反(ダフ屋行為)
従来、チケットの転売は、「ダフ屋行為」として各都道府県の迷惑防止条例で取り
締られてきました。
ダフ屋行為とは、「転売する目的でチケットを購入したり、会場周辺でチケットを
転売したりする」ことです。
インターネットにおいて誰もが容易にチケットを転売できるようになりましたが、
インターネット上での売買は、迷惑防止条例で取り締まることのできる「公共の場所
又は公共の乗り物」での売買に該当しません。
そのため、そういった「ダフ屋行為」に加え、インターネット上でのチケットの不
当な高額転売等を禁止するため2019年6月14日にチケット不正転売禁止法が施
行されました。
4.チケット不正転売禁止法
これは、政府広報が作成した注意喚起です。
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201904/1.html
チケット不正転売禁止法(正式名称:特定興行入場券の不正転売の禁止等による興
行入場券の適正な流通の確保に関する法律(2019年6月14日施行))では、
チケットの不正転売をした場合、不正転売を目的としてチケットを譲り受ける場合、
1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またその両方が課されます。
つまり、SNSを問わず、不正転売は違法です!
チケット不正転売禁止法で禁止している行為は、
- 特定興行入場券(チケット)を不正転売すること
- 特定興行入場券(チケット)の不正転売を目的として、特定興行入場券を譲り受けること
の2つです。
5.特定興行入場券とは・・・
チケット不正転売禁止法の対象は、特定興行入場券です。
特定興行入場券とは、
「不特定または多数の者に販売され、かつ、次の1から3のいずれにも該当する芸
術・芸能やスポーツイベントなどのチケット」をいいます。
※日本国内において行われるものに限られます。
- 販売に際し、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨を明示し、その旨が券面(電子チケットは映像面)に記載されていること。
- 興行の日時・場所、座席(または入場資格者)が指定されたものであること。
- 例えば、座席が指定されている場合、購入者の氏名と連絡先(電話番号やメールアドレス等)を確認する措置が講じられており、その旨が券面に記載されていること
→日付指定がないチケット
転売禁止の記載がないチケット
販売時に本人確認を求めないチケットは、適用されません。
→美術館の招待チケットなどが該当します。
→たとえばライブでは、会場ごとに決まった座席数しか用意できませんから、チケッ
トを販売できるキャパシティーは限られています。
他方、商品の場合、供給する側が供給量を増やすことも可能です。
このような意味で、チケットは転売を規制する必要性が大きいと言えます。
6.不正転売とは・・・
不正転売とは、「興行主に事前の同意を得ずに反復継続の意思をもって行う有償譲
渡であって、興行主等の販売価格を超える価格で特定興行入場券を転売すること」を
いいます。
→⑴ 興行主に事前の同意を得ずに
チケット会社(チケットぴあ等)では、そのチケットを希望する方へ転売できる
サービスを提供している正規(公式)のリセールサイトがあります。リセールサイ
トは、興行主の同意を有しているので、適法です。
⑵ 反復継続の意思を持って
病気で行くことができない、他の用事で参加できないなど、単発での譲渡であれ
ば、不正転売になりません。
⑶ 興行主等の販売価格を超える価格
興行主等の販売価格よりも同等もしくは低額なら、不正転売には当たりません。
7.SNSでの特徴
SNSでは、相手方の連絡手段が限られ、特定が難しい特徴があります。
そのため、泣き寝入りをしてしまう方が非常に多く、警察による摘発が難しい事件
でもあります。
チケットを売るほうも、顔や素性が分からないため、抵抗感がなく不正転売ができ
てしまい、「反復継続する意思」は、外形上では全くわかりません。
8.最後に
不正転売の要件である「反復継続する意思」は撤廃し、興行主の販売価格よりも高
額であれば、不正転売であるとすべきです。
チケットは、正規の代理店で購入しましょう。
個人から譲り受けること自体は、違法ではありません。
ただ、違法行為に加担する可能性がある行為であること、トラブルに巻き込まれる
ことのリスクがあることを十分理解してください。
実際にも、表示価格の10倍以上の価格で買わせたうえで、チケットが届かないと
いったトラブルも発生しています。
SNSでのチケットの売買はしない、
どうしても売買を行う必要がある場合には、「チケット不正転売禁止法」を十分に
理解した上で、取引してくださいね!