離婚をする前に準備すべきこと
1.はじめに
コロナ禍の下、一緒に生活したけど、3年が経過し、「冷めた」夫婦関係を終了し
たいと、離婚を考えている相談者が増えています。
今回は、女性の観点から、離婚する前に、準備すべきことをお伝えします。
2.離婚とは、
離婚とは、婚姻関係を解消するという意味です。
結婚は、一種の「契約」に近いものです。離婚は、契約の解消ということです。
双方が離婚に合意して、離婚届にサインすれば、離婚の手続自体は、ほぼ終了です。
ただし、離婚に伴う様々な問題が生じます。
それが、トラブルの原因となるのです。
3,離婚に伴うトラブル
離婚に伴うトラブルとしては、
① 婚姻費用
② 財産分与
③ 慰謝料
この3つが主な問題になります。
それ以外にも、
④ 年金分割
お子様がいれば、
⑤ 親権
⑥ 面会交流
⑦ 養育費
⑧ 学費や教育費の支援等
など様々の問題が生じます。
4.財産分与
その中でも、最も争いになるのが「財産分与」(民法768条)です。
財産分与とは、夫婦が婚姻時から形成した財産(夫婦共同財産)のうち、多く保有
している者が少なく保有しているものに財産を分け与える制度です。
多くは、男性側が女性側に財産分与するケースです。
(男性のほうが、収入がある場合が多いですからね。
もっとも、女性側のほうが、収入が多ければ、女性側が男性側に財産分与します)
5.財産分与で勝つために・・・
財産分与で勝つためには、相手方の資産を把握しておくことが必要です。
夫の給与明細をコピーしておきましょう。
給与の口座知っていますか?
夫が資産の運用をしているかもしれません。
株式・暗号資産・投資信託・金・不動産投資・・・・
これらの収益も夫婦共同財産として、請求できるかもしれません。
今のうちに、夫の銀行(証券)口座を可能な限り把握しておくのです。
自営業の場合には確定申告書をコピーしておいてください。
住宅ローンありますか?銀行のローンどのくらい残っていますか?
住宅ローンの契約書、明細書を残しておいてください。
→つまり、夫の資産となるものをすべてコピーしておくのです。
コピーをするひと手間が、財産分与で絶大な威力を発揮します。
6.別居することの重要性
相手が離婚に応じてくれない場合には、調停手続を行うことになります。
その際には、離婚原因(離婚するための原因)がなければ、離婚できません。
離婚原因は、民法770条1項にあります。
- 配偶者に不貞行為があった場合
- 配偶者からの悪意の遺棄があった場合
- 配偶者の生死が3年以上明らかでない場合
- 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
- その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合
の5つの原因です。
このなかでも、「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合」が一番重要です。
ケンカや相性が合わない、意見が対立するだけでは、離婚できないのです。
「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合」でなければいけないのです。
では、別居は、どうでしょうか?
結論からいえば、
別居の事実だけでは、
「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合」には該当しません。
その別居が、2~3年続き、連絡も取れず、客観的に見ても、夫婦関係が破綻して
いるものと解される場合には、「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合」
と認められ、離婚原因として、認められるのです。
7.本気で離婚するなら・・・
本気で離婚するなら、
- 夫の収入(給与明細)のコピーを取る
- 夫のメイン口座、証券口座等あらゆる口座の番号をコピーしておく
- 夫の資産となるものを把握しておく
- 別居の準備を始め、別居先や収入の確保を想定しておく
8.最後に・・・
離婚するためには、
- 事前に作戦を立てて、
- 離婚のための準備をしておく
- 証拠を集めておく
- 別居するXデーを決めておく
ことで、確実に有利な立場で離婚調停を迎えることができます。