「マタハラ」とは・・・

セクハラ、パワハラと同じように問題となっているのが、「マタハラ」です。

今回は、「マタハラ」に関して、お伝えします。

 

1.マタハラとは・・・

 マタハラとは、「マタニティーハラスメント」の略称です。

 マタニティーハラスメントとは、妊娠、出産、育児休業等を理由に解雇、不利益な異 

 動、減給など不利益な取り扱い(男女雇用機会均等法9条3項、育児・介護休業法3

 条)や妊婦や出産に関する嫌がらせ行為(男女雇用機会均等法11条の2、育児・介

 護休業法25条)をいいます。

 

2.マタハラの対象

  マタハラの対象は

  ① 妊娠したこと

  ➁ 出産したこと

  ③ 産後の就業制限・産後休業に関して

  ④ 妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができなかったこと

   ※妊娠又は出産に起因する症状とは・・

    つわり、切迫流産、出産後の回復、妊娠・出産を起因して生じる妊産婦の症状

  ⑤ 坑内業務の制限

  になります。

 

3.マタハラに対する不利益な取り扱い

  マタハラに対する

  ① 解雇

  ➁ 雇止め・契約更新の終了

  ③ 退職の強要、正社員→契約社員等の変更の強要

  ④ 降格・減給

  ⑤ 人事考査での考慮事由

  ⑥ 賞与での不利益な扱い

  ⑦ 仕事を与えない、仕事の内容を雑務のみにするなど就業環境の変更  

 などが考えられます。

 

3.マタハラのケース

  ① 制度利用への嫌がらせ行為

   例:妊婦検診のために、有給を申請した際に、

    「検診だったら、土日に行けばいいんじゃないの。別に有給は必要ないよね。」

     育児休業を申請した労働者に

   「忙しい時に、育児休業したらどういう状況になるかわかる?出世はないよ。」 

 

   →「妊娠」や「育休制度」の制度を利用することが「あたかも悪いこと」、

     出世を盾に「制度を利用させない」ことは、不利益な扱いにあたります。 

 

  ➁ 状態への嫌がらせ行為

   例:妊娠を報告した部下に対して、

  「寿退社なんだね。いつ退社するのかな?」

    2人目の妊娠を報告した労働者に対して、

  「また、育休取るの?周りの人間のことも考えてよ。」

 

   →妊娠や育休制度を利用者に、「退職」や「嫌味」を言うことは、

   利用者に対する不利益な取り扱いにあたります。

 

4.マタハラには当たらないケース

  その一方で、妊婦さんには、作業をすることが難しい場合、企業には、職場環境を 

 配慮する義務があります。

  職場の仕事内容を軽易な作業に変更し、降格させたことが違法かどうか争われた最

 高裁判決(平成26年10月23日)では、違法であるとの判断が出て以降、

  厚生労働省では、マタニティハラスメントに関する解釈通達を出しました。

  この解釈通達では、妊娠・出産・育休等の事由の終了を「契機として」(1年以 

 内)に不利益な取り扱いをした場合には、下記の①、②の場合を除いて、違法である 

 としました。

 ① 業務上の必要性が不利益な取り扱いの影響を上回る特段の事情があること

  →経営状況の悪化で配置転換が必要であり、不利益な取り扱いを回避する合理的な

   努力がなされ、人員選定が妥当である場合

 ➁ 本人が同意し、一般的な労働者としても同意するに合理的な理由が客観的に存在

  すること

  →労働者にとってもメリットがあり、不利益な取り扱いについて事業者から適切な  

   説明があり、労働者が十分に理解したうえで、応じるかどうか選択したうえで、

   同意の判断がなされたこと

 

5.企業に求められる点

 セクハラやパワハラと同様に、

 ① ハラスメントを防止するための方針を決定し、周知すること

 ➁ 相談体制を整備し、適切な対応を図ることが求められています。

 

 そして、マタハラ防止のためには、

 不利益な扱いをしないことが当たり前の企業風土を作ること

 やむを得ず不利益取り扱いを行うな労働者に対して

 説明責任を果たすこと

 説明の際には、書面と承諾書を準備し、丁寧にかつ分かりやすく説明を行うことが求められています。

 

 

 上場企業でも、中小企業でも、スタートアップした小さな会社でも、

 全ての事業者にはハラスメントに対する措置義務が求められています。

 

 ハラスメントに対して、会社の意識が変わることが一番重要です。

 

 これからのハラスメント防止には、経営者の皆さんが実践して、周知すること

 が求められています。

 

 経営者の皆さん、ハラスメント防止のために、ご協力をお願いします!