SDGs入門
1.はじめに
2015年に全ての国連加盟国によって「持続可能な開発のための2030アジェ
ンダ」が採択され、17の目標と169のターゲットからなる「SDGs」が構成さ
れています。
日本では、あまり関心がなされていなかったのですが、最近メディアでも急速にS
DGsの意識が高まっています。
そこで、「SDGs」についてお伝えします。
2.SDGsとは・・
「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals」の略称です。
和訳すると、「持続可能な発展目標」ということになります。
「SDGs」の大きな理念として、「だれ一人取り残されない」があります。
「SDGs」の全身であるミレニアム開発目標(MDGs)では、8つの目標が設定さ
れました。
限られたお金と人材が分散してしまうと、何一つ解決できなくなるため、限られた
資源を「極度の貧困と飢餓の撲滅」等の8つの分野に集中させたのです。
MDGsが採択された2000年代には、貧困や飢餓に苦しむ人が非常に多く、効率
的により多くの人が恩恵を被れるようにすることが大切でした。
そのため、マジョリティーへの取り組みが多くなされました。
しかし、その結果、少数者は後回しになり、持つ人と持たない人の格差が生じるこ
とになりました。格差は、テロや難民など、国際社会における問題の主要原因のひと
つになり、今でも貧困が続いている地域もあります。
数や効率ではなく、「全ての人々を対象として、格差をなくすこと」が、
SDGsの原則となりました。
3.持続可能な開発のための2030アジェンダ
SDGsの内容が採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」には、
「行動計画」として、6つの課題が提示されています。
1 貧困と飢餓に終止符を打つ
2 国内的・国際的な不平等と戦う
3 平和で、公正かつ包摂的な社会をうち立てる
4 人権を保護しジェンダー平等と女性・女児の能力強化を進める
5 地球と天然資源の永続的な保護を確保する
6 持続可能で包摂的な経済成長、繁栄の共有と働きがいある人間らしい仕事のため
の条件を、各国の発展段階・能力の違いを考慮に入れて作り出す
最も貧困な状態に置かれている人々、ニーズが高いにも関わらずこれまで支援が届
いていなかった人々、具体的には、「子ども」、「若者」、「障害のある人」、
「エイズと生きる人」、「高齢者」、「先住民」、「難民・国内避難民・移民」等を
優先していくことが、SDGsの特色となっています。
行動計画には「不平等と戦う」、「包摂的な社会をうち立てる」、「平等」、「繁
栄の共有」といった言葉が散りばめられ、「インクルージョン(包摂)」と「共有」
という言葉に強いメッセージが込められています。
日本でも、人口に占める割合は、移民の方が1.8%、障害のある方が14%、60歳以
上の方が34%、LGBTIの方が8.9%とされています。
個々の割合としては、あまり大きいものではありません。
それでも、こうした少数の方々が取り残されないような社会を目指す。
SDGsの最も大切なところだと言えます。
「国連は人を天国に誘うためではなく、人を地獄から救うために創設された」という
言葉を残しました。
「SDGs」は、苦しい立場にある方々が、苦しい状況から抜け出し、教育、保健、雇
用を享受でき、不平等がなく、そして、平和と公平が確保され、環境が持続可能であ
る世界を目指すことを理念としています。
SDGsを考えるとき、
「誰一人取り残さないこと」
「飢餓をなくすこと」
「格差をなくすこと」
「差別をなくすこと」
から考えることがとても大切なのです。