芸能人のマネジメント契約について

1.プロダクションとは・・

 

芸能人の話題に、「○○プロ」、「芸能事務所」のことが述べられていることがあります。

このような芸能事務所等を「芸能プロダクション」と呼んでいます。

 

 アーティストやタレント、モデル、今ではスポーツ選手、ユーチューバーまで芸能プロダクションと契約する時代になりました。

 

 プロダクションとは、英語の「production」を基にした言葉です。直訳では、「製作会社」を示します。

 元々は、舞台製作や舞台の演出を含めた制作全体を示す言葉でしたが、メディアの影響で、いつしか「芸能プロダクション」を意味することが多くなってしまいました。

 

 芸能プロダクションの活動としては、

 ⑴ 育成

 ⑵ マネジメント

 ⑶ 権利保護、版権管理

 ⑷ 営業活動

 

 の4つに分かれます。

 

 以下、歌手やタレントを想定してご説明します。

 ⑴ 育成について

 デビュー前に一気に売れるアーティストやタレントは皆無ですから、レッスンやボイストレーニング、芸能人のしきたり?を学ぶ機会を与える必要があります。

 そのため、トレーニングやレッスンは、事務所負担で行う契約をするケースが多いです。

(ただ、特別なレッスンや振付などはアーティストが自前で用意する契約もあります。)

 

 アメリカの場合は、レッスン料は個人の負担でオーディションを受けるパターンが多く、日本の場合は、デビューまでの諸経費、レッスン代は事務所負担とする契約が多いです。

 今、性加害疑惑のある某事務所も、レッスン代は事務所負担のようです。

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 ⑵ マネジメント

 多くのアーティストやタレントは、芸能プロダクションとマネジメント契約を締結します。

 その名称は、タレントマネジメント契約、芸能マネジメント契約、専属契約、芸能事務所所属契約、芸能契約、業務委託契約など様々です。

 ただ、夢見るアーティストと事業としてみている芸能事務所との間には、認識にギャップがあり、契約の内容で問題となることがしばしばあります。

 

特に、待遇、給与(報酬)、休憩、違約金、他への事務所への移籍に対するペナルティなど契約内容をよく確認しないまま進めてしまうことが原因です。

 

ただ、そもそもきちんとした契約書をしまいまま、口約束で話を進めてしまい、後で言った言わないで問題となったケースも少なからずあります。

 タレント・アーティストの皆様、お忙しいことは承知していますが、

 

必ず契約書は作成してください。

 

 

 マネジメント契約においては、

① プロモーション(公式ブログ、公式HPの管理、告知宣伝活動)

➁ 役務の提供(テレビ、ラジオ、舞台、演劇等の出演依頼)

③ スケジュール管理、マネージャーの配置

④ 報酬、権利(著作権等)の管理

⑤ ファンクラブの管理、運営

⑥ ライブ・コンサート、営業活動の手配

⑦ 公式グッズや関連グッズの販売

⑧ マスコミや出版社の取材対応

が含まれます。

 

著名なアーティストであれば「専属マネジメント契約」を締結することがあります。

専属マネジメント契約は、アーティスト活動により生じる全ての権利(著作権など)は、全て契約した芸能プロダクションに譲渡される契約です。

プロダクションがレコード会社や出版社と連携して、アーティストの利益を最大化し、より権利を保護するために、用いられることが多いです。

「専属マネジメント契約」を締結すれば、アーティストは、著作権や余計な事?を考えずに、より創作活動に専念できるわけです。

 

 ⑶ 権利保護

 著作物に関する管理は、主に「JASRAC」が管理しています。

 芸能プロダクションの権利保護としては、「JASRAC」との対応、著作権侵害の対策、制作会社との制作物に関する契約の確認が主な内容になります。

 

 

 最後に・・・

 芸能人の皆さんへ

 

 プロダクションとの契約書を必ず作って下さい。

 

 そして、契約書の内容をよく確認して下さい.

 

 

 多くの場合、契約期間は、3年以内が多いですが、中には10年とされている契約もあります。

 その場合、大成して成功しても「固定給」しかもらえないリスクがあります・・・。

 タレントの売れ行きには波があります。波に応じて柔軟に契約できるよう3年以内の契約をお勧めします。

 

  

 移籍の際には、必ずといっていいほど、芸能事務所と揉めます。

それは、アーティスト・タレントが成功して、現状の契約では納得できないから移籍するケースが多いからです。

 移籍の際の、一定期間芸能活動を自粛する規定や移籍先への妨害行為は、優越的地位の濫用として、違法である可能性があります。

 

 もし、アーティスト・タレントが、芸能事務所からの妨害工作や妨害活動、取引拒絶や「いじめ」につながる行為を受けているようであれば、すぐに弁護士に相談してください。

 

 早期の対応により、アーティスト・タレントの芸能活動を保護することができますので、早めのご相談をお待ちしています。。